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外国人の特別定額給付金の申請について、必要書類などの情報をまとめました!

外国人の特別定額給付金の申請について、必要書類などの情報をまとめました!

一人10万円の特別定額給付金の申請は、日本人でも迷うことが多いもの。
日本とは、いろんな制度が違う国で生まれ育った外国人にとっては、さらに難しいものです。日本の制度・考え方の中で申請することには、単に言葉の問題だけではない困難があります。
この記事は、
・自治体などの窓口で外国人対応をする方
・NPOなどの活動で外国人の申請の相談にのっている方
・外国から来て日本で生活している知人や友人の申請を手伝ってあげる方
そういった方たちに向けて、特別定額給付金の制度や、外国人の申請の際の必要書類などをまとめたものです。

※特別永住者の方については、日本語での申請についての問題は少ないと思われるため、ここでは取り上げていません。

1)一人10万円の給付金は外国人にも給付されます

特別定額給付金の給付作業が、全国の市区町村で進められています。
全職員が休日返上し、残業を続けながら対応しているという自治体もあるようです。

今回の給付金は「令和2年4月27日に住民基本台帳に記録されている者」を対象とすることとなりました。
つまり外国籍であっても、4月27日時点で住民基本台帳に記録があれば10万円を受け取る資格があります。
「住民基本台帳に記録」という言い方がわかりづらいですが、一般的に「住民票」とか「住民登録」と言っているものと同じです。
中長期にわたり日本に滞在する外国人には入国時に「在留カード」が発行されます。
この在留カードを持っていて、市区町村に届け出をしてあり、「住民基本台帳(住民票)」に記録されている方。
そして日本での滞在が、許可された期間を超えることなどなく(つまりオーバーステイになることなく)、不法滞在になっていなければ、10万円を受け取れるということです。

※難民規定などもあり、単純に4月27日だけで割り切れない部分もあります。
この点の詳細は総務省のHPの「よくある質問」をご覧いただくか、各自治体にお問い合わせください。

2)外国人に伝わりづらい、コロナ対応の支援策

緊急事態宣言を前後に、マスコミ等でもさまざまな支援が伝えられました。
・特別定額給付金:一人10万円を給付
・持続化給付金:中小企業に200万円、個人事業主に100万円の給付
・緊急小口資金<特例貸付>:コロナの影響で、休業になったり、収入が減って緊急に融資が必要な人を対象に20万円を上限に貸し付け
・住居確保給付金:やむをえない休業などで収入が減り、住む場所を失いそうな世帯に原則3カ月。最長で9カ月分の家賃を給付(不動産会社や家主に直接支払い)

こういった支援策について、外国人には充分に伝わっていないのが現状です。
日本人でもわかりづらい制度を外国人がなかなか利用できるものでもありません。

『旅の指さし会話帳 中国』の著者、麻生晴一郎さんは「亜州市民之道」というNPOの活動をしていますが、最近の相談の中で、ネパール人のカレー店経営者や在日韓国人の相談に乗り、家賃補助や小口資金などの制度や申請の方法を案内しています。
また、日本で働く外国人の、コロナ禍での解雇などについて、関連法規の翻訳なども行っているとのこと。
コロナで収入が減り、経営している店舗は売り上げが減少して廃業の危機、これは日本人だけに起こっているわけではありません。
日本で暮らしている多くの外国人にとっても同じように危機なのです。

3)外国人の申請、いくつかのパターン

外国人の申請の場合に、最も多く当てはまるのは、次の5つのパターンと思われます。

3-1:在留カードを持っていない

→短期滞在や、旅行目的での入国以降、不法滞在している場合などには在留カードを持っていません。短期滞在、不法滞在は給付の対象外です。

3-2:在留カードを持っていて住民登録しているが、金融機関の口座がない

→日本の金融機関(ゆうちょ銀行含む)の口座を持っていない場合は、自治体の窓口で申請を受け付けることになっています(電話対応など自治体によって対応は異なります)。本人確認書類は、在留カードを使うことができます。

3-3:在留カードを持っていて住民登録をしている。金融機関の口座も持っている

→郵送での申請が基本となります。自治体から送付されてくる申請書に、必要事項を記入します。貼り付ける書類は2つ、本人確認書類は在留カードが使えます。金融機関口座確認書類はキャッシュカードのコピーで大丈夫です。

3-4:DV被害などで住民票のある自治体以外に住んでいる

夫と一緒にA市に住民票がある(住民基本台帳に記録されている)が、夫の暴力のため、B市に住んでいる、というようなケースです。この場合はB市での申請が認められています。B市の窓口に行くことが基本となります。

3-5:マイナンバーカードを持っている

オンライン申請を受け付けている自治体では、マイナポータルAPを使って申請できます。ただし、マイナンバーカード受取時に設定した暗証番号が必要で、スマホの場合は対応可能な機種であること、PCの場合はICカードリーダーが必要です。
ICカードリーダーは、オンラインで確定申告をする際にも使われているため、外国人でもオンラインで確定申告している方は持っているかもしれません。SDカード、MicroSDカードなどのリーダーではなく、Suicaなどの交通系カードなどを読み込めるタイプです。

実際には、3-5マイナンバーカード申請の条件をすべて満たす方は、オンラインの確定申告をする程度に日本の制度や申請に慣れていたり、それを手伝ってくれる方が周囲にいると思われます。
そのため、市区町村の窓口でご案内の必要な方は、ほぼ3-1~3-4の方たちと思われます。
このうち、3-1の短期滞在、不法滞在の方は給付対象外ですので、3-2~3-4の方たちへの申請の説明が必要となります。

4)申請書に貼り付ける、本人確認書類について

本人確認書類は、在留カード、運転免許証、健康保険証、マイナンバーカードなどを使うことができます。
上記、3-2から3-4の方たちについては、在留カードを持っているはず。まずはそれを貼るように勧めることが、混乱をさけるためには重要と思われます。
住所変更のある場合は、裏面のコピーも必要となります。
在留カードのほかにも、上記の運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード、年金手帳、身体障害者手帳など有効です。
パスポートは日本国が発行したものではないので、使うのは難しいはずですが、今回の申請についていろいろな判断が、各自治体に委ねられている面があります。どうしてもという場合は、自治体に問い合わせてみることをおすすめします。

5)申請書に貼り付ける、金融機関の口座確認書類について

申請書には、金融機関の口座番号や名義を記入することになっています。
その確認のために、口座確認書類の写しを貼り付けることが必要です。
通帳もその一つとして、申請書には書かれているのですが、キャッシュカードのコピーでよいことになっているので、これをお勧めすることが、一番簡単と思われます。

5-1:通帳をお勧めするデメリット

通帳のないタイプの取引が増えていることや、通帳をどこにしまったかわからない、という方がいることが予想されます。こういった場合、ネットバンキングの画像などでも申請可能ですが、日本語がどれだけわかるかにもよるものの、説明は難しくなります。
また、多くの金融機関の通帳では、1ページ目(表紙)に金融機関名、口座番号、名義がプリントされていますが、ゆうちょ銀行の場合は、1ページ目(表紙)は名義のみで2ページ目に口座番号が記載されています。このため、どのページのコピーが必要か説明することも、簡単ではありません(通帳の「口座番号」「店番」等の記述がいずれも日本語なので、これも難しい要因となります)。
通帳のコピーの場合は、表紙と2ページ目を両方コピーすることを最初からお勧めするほうがよいかもしれません。

5-2:キャッシュカードのコピーで問題となること

日本で口座を持っている外国人の方であれば、キャッシュカードはおそらく普段から持ち歩く機会は多いでしょう。ですので、通帳よりもコピーはしやすいと思われます。
ただし、クレジットカードや、デビットカード機能を持つキャッシュカードも増えていることが問題となります。
これらの場合に、表面にはクレジットカード、デビットカードの番号と名義が書かれていて、裏面に銀行の店番号、口座番号が書かれているものがあります。
この場合は、両面のコピーが必要となります。また、クレジットカード、デビットカードの番号や、裏面の3桁、4桁の番号(セキュリティコード)は塗りつぶして貼り付けることが望ましいということになります。
なお、クレジットカード機能、デビットカード機能を持つキャッシュカードでは、口座名義がローマ字記述となっています。楽天銀行の対応などを見ると(ローマ字でも問題ない旨が説明されています)、受け付ける自治体が多いと思われます。この点も、自治体ごとに判断が異なる可能性があります。

6)申請書に記入する言語

総務省のHPでは「日本語で記載して下さい」と書かれています。
https://kyufukin.soumu.go.jp/ja-JP/download/
自治体によっては、日本語での記入が困難な場合、アルファベット記入も受け付ける等の対応をしているところもあるようですが、対応する現場の混乱を考えると、すべての自治体でこのような対応ができるとも思えません。
ひらがなでもよいので、日本語での対応をお願いすることになります。
この記事を読まれている方が、外国人を手伝う立場にいらっしゃる方で、記入に困難がある方をサポートする場合は、代理で記入してあげて、捺印を本人に委ねる等の方法が必要と思われます。

7)総務省の多言語対応

特別定額給付金の案内ページの右上に、「LANGUAGE」というボタンがあり、外国語での説明を見ることができます。
総務省 English language

6月11日時点で、ここから、10の言語の案内を見ることができます。

▶ 英語ページ

▶ 簡体字中国語ページ(主に中国の方)

▶ 繁体字中国語ページ(主に台湾や香港の方)

▶ 韓国語ページ

▶ ベトナム語ページ

▶ フィリピン語ページ

▶ インドネシア語ページ

▶ タイ語ページ

▶ スペイン語ページ

▶ ポルトガル語ページ

また、特別定額給付金の案内、申請書の記入例について、下記ページからPDFをダウンロードすることができます。
https://kyufukin.soumu.go.jp/ja-JP/download/
こちらには、下記の11の言語が用意されています。
ただし、申請書の記入例はzipファイルとなっているため、スマホで見るのは難しい方は多いと思われます。窓口などでご案内する際に、プリントしたものを渡さないと、現実的には見ることが出来ない方も多いと思われます。
英語
簡体字中国語
繁体字中国語
韓国語
ベトナム語
タイ語
インドネシア語
フィリピン語
スペイン語
ポルトガル語
ネパール語

8)特別定額給付金【外国人申請対応】会話ツールを無料公開中‼

私ども、情報センター出版局では、新型コロナウイルスの全世界的な流行に際して、言葉の通じない国で暮らし困っている人たちのために、無償の会話ツールをPDFの形で制作し、配布しています。
4月2日の公開以来、アクセス数は10万を超え、PDFのダウンロードも1万を超えています。全世界、約106カ国からのアクセスがあります。
新型コロナウィルス対応 指さし会話
https://www.yubisashi.com/covid19/

この取り組みの中で、日本にいる外国人に情報が行き届いていないこと、特別定額給付金の窓口では外国人対応に苦慮していることなどの反響をいただきました。

こうした声を受けて、自治体の窓口で外国人の方たちに対応するための会話ツールを制作いたしました。
この記事で解説しているような、申請の相談に来る方の受付対応とパターンの振り分けについては英語対応のページを無料公開しています。申請に必要な書類の案内、総務省の公開している記入例のご案内などを、11の言語でスムーズに行うことができます。
自治体の方には、購入をご検討願えましたら幸いです。
→特別定額給付金【外国人申請対応】会話ツール 無料公開ページ

9)まとめ

いま、日本で生活している外国人の方たちは、世界にさまざまな国がある中で、日本を選んでやってきて、そこで私たちと同じようにコロナに翻弄されて、共にコロナとたたかっている方たちです。
この方たちに、きちんと対応することは、必ず日本へのプラスとなって返ってくるはずです。
この記事がそういった対応をしていただく上での参考になりましたら幸いです。